2000

2000年5月9日から、フォーリンTVジャパンにてオンデマンド形式で放送されたインタビューです。
■2000/05/09~12 BEST MUSIC TV JAPAN インタビュー

現在日本のミュージックシーンの中で、外国人アーティストにひけを取らない、そんなアーティストをピックアップした、そんな音楽番組、ベストミュージックジャパン。今回のゲストは、デビュー13年目、数々のオリコンチャート上位曲を生み出した個性派ロックバンド、BUCK-TICKのボーカル、櫻井敦司さんです。よろしくお願い致します。
「よろしくお願いします。」
さて今回、久しぶりにファンの方の前に姿を現したわけなんですけども、
「はい。」
ファンの方が一番聞きたがってた質問。この、1年間の地下活動期間中、一体皆さんどのような活動をしていたのでしょうか。
「んー……穴蔵に、こもって……」
(笑)こもってどんな事をされてたんですか?
「去年、去年はあの、イベントとか……出て、んー……ま、2000年っていう区切りに合わせた訳じゃないんですけども、自然と自分たちのこの、色んな変化があったので、その……ま、レコード会社の移籍とか、そういう音楽とは違った所での準備っていうんですか。そういうので、ま、土台を固めたいっていうので、あまりその、「音楽で」っていうのはなかったですね。」
(よく聞き取れず)曲作りの方は順調に進んでいる、と。
「まあ、ゆっくりゆっくりですけど、まあ焦ってもしょうがないので……(ごにょごにょ)」
現在新曲の方を製作されておりますが、今回はどういった感じに仕上がっていますか?
「んんー……まだあの、全体は見えないんですけども、……なんか、ちょっとこう……サワリだけー…なんですけど……まあ、こ(聞き取れず)」
櫻井さんのテーマとしては、今回「どういった風に仕上げたい」というのは……
個人のテーマとしてはあのー、……ドロドロした(笑)。……んー、ドロドロした世界ですけれども、……絶対みんなそういうの、理解できるでしょうって所を、うまく残して行きたい……です。恋愛にしても、テレビドラマでやるような世界じゃなくて、……」

(あっちゃんが言った言葉にカブりながら)今までとはちょっと違った形に仕上がって来る、という事ですか。
「それはもう……いつも、心がけていますね。ヤバい感じにしようしようと思ってます。」
(笑)あの、今日の……全身黒で。決めてらっしゃるんですけども、お好きなファッションブランドは何でしょう。
「あー……あまり、んー……何か、洋服にこだわってる……こともないんですけども、」
ええ。
「日本人でこう、パワーがある服。ヨージヤマモトさんとか……ナショナリティじゃないですけど、そういう人のは着たいなぁと思います。」
曲作りされる時も、みんなで集まって、一応こうだっていう形で、(聞き取れず)今回はこれでいきましょうって(この後も小さい声すぎて聞こえない)
「そうですね、まあ、ほんとに無言で……あの、テープだけがポストに入ってるっていう感じで。」
(笑)それはやっぱり、一緒にメンバーの方達に、最近遊びに行かない?という事にも繋がってくるんでしょうか。
「いや、うーーーん……なんかその、ずーっと……何年も一緒ですから、あの、会話っていうか、言葉で言えちゃうのが何か嫌なんですね。あの、……「こういうこと考えてるんだけど、お前はどう思う?」みたいなのが、……言いたくないし、言って欲しくないというか……。その、音楽次こういうことしたいとか、こういうこと考えてるっていうのが、自分でこう、想像して、あの……でないと、全部言葉で埋めちゃうと、面白くないっていうのがあって……。まぁ基本的にはずっと一緒だから、……何かあったときに集まればいいって感じで。ええ。」
今何かはまってらっしゃるものはありますか?
「んんーー……いや特に無い……ですね。」
最近あの、インターネットとか、
「はい。」
だいぶ流行っていますけれども、櫻井さん自身はインターネットの方されるんですか?
「まぁ、する……といえばするんですけど、もうほとんどあの、置物になっちゃって。やっぱり、あの……むいてないのかなと、思っている今日この頃です。」
(笑)あの、櫻井さんの、まあBUCK-TICKの、オフィシャルサイトというのはやはりあの、インターネットであるんですけども、
「はい。」
そういった……展開というもの、ファンクラブの展開というものもだいぶ変わってきていると思うんですよね。で、これからのBUCK-TICKは、そういったインターネット上での音楽展開といった、そういうものは考えていらっしゃるのでしょうか。
「ええ。」
それはどういった方向で、というのはまだ決まってらっしゃらない。
「んー……やっぱりあのー、まだそんなに……実質そんなあの普及……はしてますけど、やっぱりあの、自分でジャケットを見て、CDを買う、とか……そういうのがどんどん無くなっていっちゃうのは淋しいと思うんですけども、やっぱりそういう所で、……すぐその場で新しい音が聴けるっていうメリット……そのへんあの、バランスとってやっていきたいと思うんですけども。操られないように。」
最後にですね。ミレニアムのBUCK-TICKとしての活動は、何か異変があるのでしょうか。
「ん~……まあ、やっとあのー、何て言うのかな、色々変化の年だったので……土台を固めて。……まあ、当初自分の中では……前々からアジアの国とかで、他の国とかで、……んー、ライブができればな、と思っていたんですけど……とりあえずはやっぱり日本の中で。……自分たちの居場所みたいなものを、……自覚したいっていうのはあります。…………そうですね。やっぱり、異文化に……誰にも負けないように。いやらしい感じとか(笑)。そういう、わりとマイナスのその……要素というか、……そういうのをあの、どんどん突き詰めて行きたいとは思っています。」(8分47秒)


■2000/05/09~12 BEST MUSIC TV JAPAN Q&A

ではここで、ファンからの……皆さんからの質問を、お答え願いたいと思います。
秋田県のアサミさんからの質問です。「今一番おすすめのアルコールは何ですか。もし、ワインなら、どんなワインがお好きですか。」
「アルコールは……すすめるものはないんですけど(笑)、ワインとかは、あの全然詳しくはないんです。ただあの、あまりカロリーがないから、って聞いてるので、……体にいいとか。で、赤ですね。赤いワイン。……まあ、あの、酔っぱらえればなーんでもいいんですね。はい。」
あの、これ余談なんですけれども、アサミさんから、「今でもやはり機械的にアルコールを嗜んでいるのでしょうか」って聞かれてるんですが(笑)。
「えー、よくあの、昔、全然こう(グラスを持って口に運ぶ動作)、この手の作業が全然変わらず動いてるって言われたんですけど、わりともう……全然ペースは落ちないですね。なんかほんとに好きなんですね、もう。どうしようもないですね。」
では、次は北海道の、オガクマミチヨさんからの質問です。「デビットボウイはまだお好きですか。最近お聴きの曲、またはお勧めの曲はありますか。」
「デビットボウイは……もう、ずっと好きで……います。あのー……年を取ってからも何か別の魅力、……がありますね。……無理してるんじゃないんですか、みたいのそのあやしさというか。……最近は、んー……やっぱり、普段はあまり聴かないんですけど、ほんとに、あの、アーティストの名前も知らない、ジャケット買いであの、……トランスミュージックとか。……いわゆるあの、歌ものじゃない、静かなやつばっかりとか……まぁそういうの、ですね。」
鹿児島県の、タケウチヤヨイさんからの質問です。「あっちゃんが飼ってる猫、ちびとにゃあの性別は? あっちゃんのサラサラな髪はいつもうらやましい限りです。いつもストレートで、結んでいる姿は見たことがありませんが、あっちゃんでも髪を結んだりするんですか。一度見てみたいです。」
「まず、猫は……えー……にゃあがお姉さんで、ちびがお兄さんですね。……あ、ちびはオカマ……(笑)オカマって言っちゃいけないのかな(笑)……あの、一応去勢したので。……で……、髪の毛は長いころの事を言っているんですかね。昔はもう、腰まであったんですけど、……やっぱり、邪魔なときはほんとに縛ってましたけど、あまり、そんな人に見せられる姿じゃないですね。(笑)おかみさんぽくなってて。」
今はもう、結ばれない……
「んー、何か……もうそのまんま……ほんとはもうボサボサでもいいんですけど、あんまりかまってないんで……」
あの、切られた理由っていうのは……ありますか、何か。
「いや、失恋でもないし……ただほんっとに暑くて、こう、知らないうちに口の中に入ってたり(笑)。……もうほんとに、邪魔になっただけですね。」
では、次は。モミノキさんからの質問です。「アジアでライブをするという話を聞きましたが、もしお客さんの多くが日本人だったら、やっぱりお嫌でしょうか。」
「いやそんなことはないですけど、……全員そうだったら意味ないですけどね(笑)。……やっぱりそこで……あの、例えばその外国で、自分達の情報が少ない日本人の人たちとか……も居るわけで……留学してる人とか。昔、ロンドンでライブやった時も、向こうの留学生が……来てくれた時はほんとに……嬉しかったですからね。……まぁ全員日本人だったら(笑)意味ないですけども。」
ではやはり、日本の……日本に居らっしゃるファンの方にもぜひ来て下さい、と。
「ええ、もちろん。」
はい。では次は、ユミエさんからの質問です。「5年前の、『音楽と人』の中に、櫻井さんの部屋は、映画館ばりに暗幕が張り巡らされているという記事をみつけました。現在もそうなんですか。もしそのままなら、以前に比べて、暗闇に目が利くようになりましたか? ぜひ、教えてください。」
「(笑)コウモリじゃないですからね、その(笑)……でも、やっぱりあの、……ちょっとあの、朝日は、あまり得意ではないので、……まっくらですね。」
映画がお好きで暗幕を張り巡らせてる訳でも有るし、朝日が嫌いだから、暗幕を巡らせてるっていうのもあるんですか。
「いや、どっちかっていうと暗いのが好きなので(笑)、……落ち着くんですよね、やっぱり。」
現在もそのままである、と。
「はい。」
はい。では次は、トウコさん。キシトウコさんからの質問です。「以前の櫻井さんの歌詞には、人間、特に男性の弱い部分や醜い部分を、自分で体現してみせているような感じを受けていたのですが、最近の歌詞は、苦しみ抜いた末に辿り着いた極地で、辛さや、弱さは変わらないけれど、穏やかにそれを見守っているような感じを受けることがあります。櫻井さんは、何事にも動じない、悟りの極地、のような精神状態に至りたいと思いますか。それとも、精神的に安定などしないままで居たい、と思われますか。それは表現者としてですか。」
「(笑)難しい……っすね。…………うんー……(悩)、やっぱり……煩悩の世界で生きていますから、……悟りたいとは……何を悟っていいのかわからないんですけど、やはりのたうちまわって、みっともなく、行くと思いますけど。……はい。」
それから、そういったものもこれから音楽のほうに反映されていくと。
「んー……まあ反映しちゃう、とき、ありますね。」
カイバラチヒロさんからの質問です。「櫻井さんは絵を描かれると以前おっしゃられていました。今でも描かれますか。また、どんな絵を描かれるのか、知りたいです。」
「んー……そんな、大したもの……は描いてませんけど……ほんとに、今までで1枚だけ……自画像というか、油絵で描いたのあるんですけど……あとは、ちょこちょこその……自分たちのファンクラブに……宛てて、なんかこう、イラストっぽいのを描いたりしてますけど、……んー、何かあの、文章で書くより、絵でこう、想像してもらうっていうのが、……いいかなと、思ったので……そういうのは、やってます。コミュニケーション、として……。」
一番お得意なのは、油絵なんですか。
「いえいえ、とんでもないです。」
(笑)
「得意な……っていうかあの、全然……わからないし…ほんとラクガキです。」
同じく、カイバラチヒロさんから、もうひとつ質問です。「以前、櫻井さんの写真集の話が、やむを得ない事情でお流れになってしまいましたよね。あの計画は再び浮上しませんか。もちろん当時は、櫻井さんが無事なら写真集などどうでもいいと本気で思いました。だから怒らないで下さいね。でも私を含め、未だに残念に思っているファンは大勢居ますよ。機会があれば、写真集出して下さい! ぜひお願いします。」
「はい。……(笑)……機会があれば……あの、出したいと思います。」
じゃあ今のところは、写真集が出るとかそういった企画は、ないという事ですか。
「んー……ん、具体的には、無いですけど……もし面白いカメラマンの人とか、……雰囲気がある場所とか、そういうのがあれば、ちょこちょこ、撮り貯めというか、セッションはしたいと思ってますけども。はい。」
はい。という事で、今日は1年ぶりにファンの皆さんに姿を見せた、BUCK-TICKのボーカル、櫻井敦司さんでした。どうもありがとうございました。
「ありがとうございました。」(10分2秒)


■2000/05/12~15 BEST MUSIC TV JAPAN PV解説

こんにちは。(ぺこ)えー、BUCK-TICKのボーカルやってます、櫻井です。

えー、ヒロイン。この曲は、そうですね、その時あの……今、今井寿の中に、えー、ギターの……今井寿の中にあった、その……んー、バンドとは違った……要素ですか。例えば……そうですね、ドラムンベース。えー……打ち込みの音と、生のドラムの……まあぶつかり合いというか、融合というか。んー、……あと彼はやっぱりテクノが……昔から好きだったんで、ま、そういうのも、あの……バンドサウンドと、あー……生身の声だったり、タイコだったり、そういう、(鼻をすする)そういうものの、融合。まぁバンドの中では、ひとつの……姿勢で、姿勢というか方向ですね。

囁き。んー、この曲……は、えー、クールな。……ま、淡々としたリズムの中で、んー……ま世界観としては、自分の中では、……サディストと、えー………まあ、マゾ。その……何ていうのかな。まあ、サディストのダンスを観ている、マゾというか。……ちょっとマズイかなこれ(にや)。ええまあその、クールな感じと……あとは、えー……べちゃっとした、というか。えー、さっ(さっきの、と言いかけて途中で止めた感じ)……まあ、やっぱり機械音、機械の冷たい感じと、あと肉。肉の感じですね。ぐちゃっとした感じと、……えー、ま、そういう……ちょっと、いやらしい、曲に……したかったん、です。

月世界。この曲は、……えー、海の深みとか、……宇宙空間。まあ想像の……中、でなんですけども、……そういう無音の状態とか、……あー……意識レベルの低下ですか。……ま、その、んー……なんていうのかな、無音地獄というのかな、。ま、音が鳴っててこうこと言うのも変ですけど、……そういう、何も感じなかったり、……えー……それが安らぎ……に行くのかどうか、……という……瞬間みたいなものを、まあ表現というか、そういう世界を作りたかったと。まぁ月世界ってタイトル、になってますけども、……(数度こまかく頷く)あの……ロマンチックな世界に、したかったです。

BRAN-NEW LOVER。……んー……、これはあの、とても……自分たちの曲の中でも……まあ、ポップな部類に入ると、思います。んー……そうですね、まぁあのー、いつも、えー……曲……ま、作曲時にとっても、その、機械と……冷たさと、……肉、肉感の部分。その、バランス、オンバランスは、えー……それが、あの……不安定な感じに、というか、そのスリル……な部分を求めていると思います。えー……、やっぱり、世界としてはその、……今……破滅思考ではないですけども、結局は救われないんだ、という、……ま、そういう自分のせいか(性格、って言おうとしたのかな?)……好きな世界を、素直にできたというか。そういう曲ですね。

えーー、ミウ。これは、んー……まぁ、ロマンチックなメロディーが、……えー、そういう印象を受けたので、歌詞の方もその、……まあ、ある女性というか、……んー、……儚さとか、えー……生まれ変わりとか、……少しこの、希望……自分の詞の世界というのは、割と……夢も希望も無いというのが、(鼻をすする)けっこう多いんですけども、……これは割とあの、希望を持っ……持つというか、そういう意味合いを、あのー……含んでます、ね。……はい。


■2000/05/15~17 BEST MUSIC TV JAPAN LIVEについて

えーーー、BUCK-TICKの……に、とってのライブ。えーっと、そうですね……最近になって初めてその、……んー、ま、大事、……ちょっと違うかな、やっぱライブ行っ……ひとつひとつ、大事……より大事にしたいなーとは思って……来てますね。えー、もうずっと、一緒にやってきてくれてる、えー、スタッフ、ツアースタッフ。あのー、これはひとつの宝だと思っている所もあるし、ま、自分達だけでやって来たとは思ってないので、やっぱりすごく、あの……ライブには、ま、少し……自信も……スタッフのおかげで自信もあるし、誇りだと思ってます。えー、で、その、ライブはその、……やっぱり緊張感というものは……すごくあの、研ぎ澄まされていたいと思っていて、……あのー……控室から、……ま、玄関一歩出たっていう感じなんですけども、そこからもう、自分なりのいい緊張感を、誰にもあの……邪魔されないような緊張感を持って、ステージに……踏み入れて行くって感じです。えー……世界としてはやっぱりその……お客様……お客さんを……何ていうか、圧倒していたい、……ライブでの一体感というもの、よりは、その距離に不安になるというか、見てる人が……そういう、怖い世界をあの、自分では作ろうと思っていますね。ま……あとは、えー、エンターテイメントな部分でも、生身の声を聴いてもらいたいとか、そういう部分では、自分なりに楽しんでますね。えー……お客さんもあの、型にはまった楽しみ方をして欲しくないし、……やっぱり、自分達のライブっていうのは、……ま、簡単に言うと……光と、影でこう、……んー、会場を支配したいという、まぁカッコ良く言うと、そんな感じです。(この後、MY FUCKIN’ VALENTINE、リザードスキンの少女、タナトスのライブ映像)